2015年07月21日

UH-Xの契約先が決定

UH-Xの開発元は富士重工とベルヘリコプターに決定されました。
412.jpg
その結果、UH-Xのベース機はベル412EPIとなることが濃厚です。(写真は海保の412EP)
が、そこで捻くれ者の私はひとつ気になったことがあります。それは、412EPを提案したことになっている富士・ベル連合ですが、公式には「なにをベースに」提案したのか一切情報がでていないことです。

「国内企業と海外企業が共同で行う民間機の開発と並行して実施する」
これが防衛省がUH-X選定に掲げた条件です。それゆえに川崎・エアバスは「新規開発」を提案したわけです。実際この2社の共同開発は、セールスで国際的に成功を収めたBK117の実績がある、というか米軍もUH-72AとしてBK117を採用しているわけですが、「既存機の改造開発」とした富士・ベルは412EPIをベースに開発して民間市場で需要があるのか?ということです。
結局、富士重工が自衛隊専用機を開発・製造するだけになる気がひしひしとするわけです。

さて、ここで少し見方を変えて「富士・ベル連合は実は412EPIではない機種を提案した」可能性を探ってみましょう。
実のところベルのヘリコプターラインナップはエアバスのそれほど豊富ではありません。特に最近はV-22に偏ってるように見えます。そして、現行機種の中では412が最大の機体で、それ以外はパイロット以外に5〜6人程度の小型の機体ばかりです。
これではそもそも選択肢が412しか無いように見えますが、実はひとつだけあります。
525r01.jpg
それがこの525です。民間機で初めて操縦系統を完全にデジタルフライバイワイヤ化した機体で「ちょうど開発中」で、しかも2015年7月、つまり今月初飛行したところという実機もちゃんとある最新機体です。
ここで富士がいっちょ噛みできれば、防衛省専業と言われる富士のヘリコプター部門にも光がさすわけです。
最新鋭機ということで将来性もありますし、選択肢として悪くないと思われます。

まぁ、そんなこと言ったところで525がベース機になることはまずないでしょう。
それは悲しいかな値段の問題です。金食い虫のV-22を調達しつつCH-47とUH-60JAを維持するとなると、必然的にUH-Xの調達にかけられる金額は限られます。そのためにわざわざ条件に「1機12億円程度」なんていう文言が入れられてるわけです。
で、525のお値段ですが、ベル本家のサイトを漁ってみた限り15〜20億円くらいは固いと思われます。ちなみに412EPIやBK117といった機体は概ね5〜8億円程度のようです。これなら軍用に改造しても12億円以内におさまりそうですね。
なんで525がそんなにするのかというと、実は525のエンジンに原因があります。出力でいうならUH-60やUH-1Y、AS332に相当するような高出力エンジンを搭載した機体なのです。これは、洋上プラントへの人員物資輸送の需要を見越して開発している機体なので、高速・大積載を目指したためである。
よって、やっぱり選択肢は412EPIしかないわけなので、もうしばらく陸自のヘリは見慣れた形が続きそうである。残念。
ちなみに、UH-1Jが120機に対してUH-Xの調達予定が150機と言われているので、どうもOH-6もUH-Xでまとめて、足りないのはUAVで補うつもりなのでしょう。
ちなみに、よくUH-1Yと412EPIが同じみたいな書き込みを某掲示板で見かけることがありますが、wiki見ればすぐわかりますがUH-1Yはエンジン出力が412EPIの倍ある完全に別の機体です。開発が難航したのも納得のパワーアップです。
なので、412EPIがUH-Xに決まったのはAH-1Z採用の伏線!みたいなのは完全に的外れです。UH-1Yを採用しないとAH-1Zを採用するメリットはありません。というわけで、陸自はもう攻撃ヘリ諦めたとみるのが妥当なのではないかと。
UH-Xがトラブルなく配備されることを祈りましょう。
posted by 雪風 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月19日

また滞ってますが

また更新が滞ってしまってますが、気になったこといくつか。

・自衛隊の救急キットの話
何かとネットで話題になる(ネタになる?)ことの多いとある軍事評論家の方が、某経済紙で連載してるシリーズで、陸上自衛隊の個人救命具があまりにも貧相なことに触れてます。
実際問題、災害派遣の際にも必要になることがあるわけですし、何より応急手当は割と「自衛官」という職業から連想される能力だと思いますから、各種救急措置の訓練はやってやりすぎということはないでしょう。
記事は現在審議中の法案と絡めて書いてますが、個人的には「そんなこととは関係なくどのみち充実させなければならない」分野だと思いますので、あの方には今後ともこの手の記事を期待したいですね。本来、歩兵装備で一番重要な部分だと思うんですけどねぇ・・・。
それにしても、あの人もこういう記事ばっかりなら叩かれることもないでしょうに、自説曲げませんよね。読んでて「んんん?」っていう記事が多すぎるのがどうにも・・・。

・フィリピンが日本に装備品の要求リスト
アキノ大統領が5月末に日本に来ていましたが、その際に日本に中古でいいから兵器を安く譲ってほしいという要望と希望品のリストを出しています。
感想は、欲しいのはわかるけど維持できんのか?というしごく単純なものでしたが・・・。
具体的には、P-3C、しらね型DDH、おやしお型SS、はやぶさ型ミサイル艇の4つです。
まずP-3CはP-1の配備で用廃がでてきますから、海自側は特に異存ないでしょう。一応アメリカも可としているようです。ただ、戦闘機すら持たない貧弱な航空戦力にこんなもんいきなり突っ込んで運用予算は大丈夫なのか?という問題があります。中国の挑発を抑えるために対潜哨戒機が必要なのはわかりますし、日本の利益にもつながりますが、対潜装備は維持できずに、せいぜい洋上哨戒機になるのがオチじゃないかなぁと。それでも飛ばせるならありなんでしょうが・・・。まぁ、航空機に関していうなら、まずは領空警備できるようにどうにかしろと。

しらね型DDHも退役する艦ですので、海自は特に異存ないでしょうが、すでに退役した「しらね」はXASM-3の実艦標的になることが決まっていて、改造業者もすでに決定済みというか、もう工事に入って装備おろしちゃってます。どっちみち「しらね」はCIC火災で、「とりあえず退役まで数年使えればいいや」で「はるな」からCIC機材を移植してましたので、運用寿命は残って無かったかと・・・。残るは「くらま」ですが、こちらは退役まで2年ほどありますね。どうなることやらといったところですが、問題は「維持できるのか?」という点に尽きるかと。
蒸気タービン艦ていうのもアメリカ、韓国からの供与や輸入、日本の供与巡視船でディーゼルとガスタービンだらけになってる現状では具合悪いですし。まぁ、かといって、ゆき型やきり型も当面は退役艦なさそうですが。
潜水艦は論外ですね。海自も増勢中でしばらく退役は先延ばしでしょうし。まぁ、もともと退役する艦齢が若かったわけですが。
個人的にはオーストラリアも含め潜水艦の輸出には反対です。自国の安全保障上、最大の脅威になり得る兵器をわざわざばら撒く必要はないです。というわけで、個人的にはオーストラリアの潜水艦は、豪州内のごたごたもいろいろめんどくさいし独仏と勝手にやってくださいと思ってます。
はやぶさ型ミサイル艇は、供与自体は問題ないでしょうが、そもそも海自で近々退役させる予定もねーだろ新造すんのかって話です。DEXが就役しだすと退役するんでしょうが、それなら同じくDEXで更新されるあぶくま型のほうが良くない?って話で。新造しても100億円くらいなので、一応フィリピンでも調達できなくはない?のか?
このへんは他にもいろいろネタになりそうですよね

とりあえずこの辺で。美保基地航空祭行ってたりとかいろいろネタはあるんですが、写真の整理がね・・・。
posted by 雪風 at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月21日

陸上自衛隊の回転翼機

陸上自衛隊の回転翼シリーズはとりあえず一旦今回で終わろうかと思います。
そういうわけで、ざっと陸自の回転翼機全体について思うことを書きたいと思います。

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まずは現主力輸送ヘリのCH-47です。写真はJ型ですが、機首に気象レーダーを装備したJA型や、自機防御装置、ドアガン、防弾板等が追加された海外派遣仕様もあります。
陸上自衛隊の保有する回転翼機としては最大の積載能力を持ちますので、災害派遣でも良く見かける機体です。
V-22が配備されても積載能力はこちらが上ですので、災害派遣のニュースで見かける機体は相変わらずこれが主力ではないかと思います。
初飛行から50年以上経過したベテランですが、未だに改良が続いていますし、アメリカ陸軍も採用を続けていますので、今後も主力輸送ヘリの座は譲らないでしょう。
運用上のデメリットとしては、純粋な陸軍機ですので、DDHでの運用ではいろいろ不便がでるということでしょうか。過去にはおおすみのヘリ甲板にパッキングして露天係止での海外派遣もしてますし、海自のMCH-101もありますので、それによって機体を入れ替える理由にはならないでしょう。
今後あるとするならば、最新型のF型仕様への入れ替え(FJとでもなるのかな?)や特殊作戦群用にMH-47を導入するくらいではないでしょうか。
ちなみに、地味ですが空自もレーダーサイト等への物資運搬用に採用しています。

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そしていろいろ言われているV-22です。
個人的にはこんな金食い虫いれて大丈夫かなぁと思います。
小笠原諸島からの急患輸送などでも期待がでてますが、キャビンが与圧されてないので、よほどの場合を除き従来通りUS-2のほうがいいと思います。仮に急患輸送に使うにしても、佐賀空港と言われている配備先からでは無駄なので、木更津にでも分遣する必要があるでしょう。まぁ、ウルトラCで硫黄島に置いとく手もありますが、整備を木更津に置くみたいなので、木更津が無難でしょうね。
で、一部評論家が指摘している「武装もないのに援護どうすんだよ」問題ですが、一応米軍のほうでも問題になっているので、ガンシップ型が計画されてますね。機首にターレットをつけて、胴体にロケット弾ポッドをつける方向みたいです。なんかハインドを思い出しますね。最初から必要なのわかってただろって気もしますが。
随伴できる攻撃ヘリが無いので、長距離作戦を行うと完全に無防備な状態になってしまいます。現にアメリカも南スーダンでCV-22が袋叩きにされて作戦を中止したことがあります。その辺見越してAH-64Dの調達を中止したと見れなくもないのかなぁと思ったり思わなかったり。
なんせ、新しい機種ですので、米軍ですら運用は五里霧中という状態です。陸自の採用が迷走してる象徴的な機体かと思います。

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続いてAH-1SとAH-64Dです。AH-Xは前々回触れてますからまとめます。
前々回はAH-Xを採用する前提で書きましたが、巷でも言われるように今後衰退が見込まれる機首ではあります。
理由としては
・UAVである程度代替できると見られている
・高価なわりに単機能。ヘリボーンの援護ならガンシップでいいじゃないという風潮
このあたりが考えられます。ただ、ある程度の装甲持たせて、人が乗ってるので臨機応変に対応できるというメリットもありますが、全廃はやりすぎじゃないかなと思います。
大幅に数を減らすにしても維持する必要はあるでしょう。特に日本の場合は、ゲリラの潜入というリスクは周辺情勢を考えると常にあるわけですから、高度なセンサー類と自衛装置、重武装を持つ攻撃ヘリは現状では一定程度代替不能な面があると思います。
AH-64D、Eで2個飛行隊くらい持っててもいいと思うんですがどうでしょう?
まぁ、このあたりはV-22のガンシップ型とかUH-Xに武装させるのかとかいろいろ絡むので難しいですね。いずれにしても、しばらくはAH-1Sの減勢に合わせて純減が続くでしょうね。

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続いてOH-6DとOH-1の偵察ヘリ勢です。
こちらも減勢が見込まれる機体です。OH-1が後継のはずでしたが、安価な観測ヘリの後継を、高価な偵察ヘリでやるには無理があったため、OH-1での代替は一部にとどまっています。ちなみに練習機として使用されているOH-6DはTH-480Bでの更新が始まっています。
かなりの数(90ほど)を保有していますが、軽輸送にも使用できることを考えると一概にUAVで代替可能とは言えないでしょう。
そう考えると、半分くらいをUH-Xとまとめて更新してしまうというのもいいのではないかと思います。そうなると12億円と見積もられているUH-Xの単価でも高いので、UH-72Aでいいじゃん!と思います。数が増えるので能力の低下はある程度カバーできるでしょう。何より、AAS-72Xという軽武装型もエアバスが勝手に開発してくれてます。ガンシップ導入の道も開けるかと。
まぁ、エアバス・川崎がUH-72を提案する気はこれっぽっちもないので、画に描いた餅ですがね。ほんと、OH-6どうする気なんでしょうね。UAVも真剣にやってるように見えませんし。
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そしてOH-1ですが、まだまだ新しい機体ですから、対地兵装をもうちょっと真剣に検討してもいいんじゃないかと。AHも純減するわけですし。あとセンサー類のバージョンアップとか・・・。

IMG_1048 (1280x853).jpg
そして、最後に汎用ヘリ勢。とはいえ、前回ある程度書いてるので触れるだけです。やはり、数の上での主力ですから、ちゃんとした買い物してほしいですね。
UH-60JAは調達継続しつつ、UH-Xというのがいいんでしょうが、そうも予算が許さないですかねぇ・・・。

思うところをつらつらと書いただけなので、まとまりのない駄文になった気がしますが、とりあえず陸自の回転翼シリーズはこれでいったん終わりです。
次は・・・どうしよう。ネタはいっぱいあるんだけど・・・。
posted by 雪風 at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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